「そんな家賃、絶対にヤバい人が住んでるに決まってるじゃない」
「東京で3万円台? 事故物件かスラム街でしょ。お母さんは許しませんよ」
電話越しに響く母の声に、私は何も言い返せませんでした。
スマホの画面に表示された『家賃3.8万円〜』という魅力的な文字。
今の私にとって、それは希望の光に見えたのに、周囲の反応はまるで「地雷」を見つけたかのような扱い。
「やっぱり、安いのには裏があるのかな…」
夜、狭いユニットバスでシャワーを浴びながら、私はため息をつきました。
手取り19万円。現在の家賃7万8千円。
生活費を切り詰め、ランチは毎日コンビニのおにぎり1個。
貯金なんてできるはずもなく、友達の結婚式の招待状が届くたびに、「ごめん、欠席で」と嘘をつく自分に嫌気がさしていました。
もっと安く住みたい。でも、女の一人暮らしで「治安」を犠牲にするのは怖い。
もし、夜道で襲われたら? 隣の人が変な人だったら?
これは、恐怖と不安に押しつぶされそうになりながらも、**「クロスワンルーム(クロスハウス)」**という選択肢に賭け、東京での生活を劇的に変えた、ある20代女性の物語です。
あなたが今、「安さに惹かれるけれど、怖くて一歩踏み出せない」と感じているなら。
この記事は、あなたのためのものです。
1. 「家賃貧乏」という名の、見えない牢獄
上京して2年。私は「普通の生活」がこれほど苦しいものだとは知りませんでした。
最初は私も、不動産屋さんの言われるがままに物件を選びました。
「女性なら2階以上、オートロックは必須ですよ」
「このエリアは治安がいいから安心です」
そう言われて契約した、世田谷区の綺麗なマンション。
確かに建物は立派でした。でも、毎月口座から引き落とされる約8万円の家賃は、私の首を真綿で締めるように生活を圧迫していきました。
心の中で叫んでいた、誰にも言えない本音
(今月もカツカツだ…またカードのリボ払いに頼らなきゃいけないのかな)
(インスタで見る友達のキラキラした生活。なんで私だけ、スーパーの見切り品を探して歩いてるんだろう)
「安全をお金で買う」。それは正しいことだと信じていました。
でも、高すぎる家賃のために、私は精神的な「安全」を失っていたのです。
心がすさんでいく感覚。将来への不安。
「このままじゃ、東京に殺される」
そんな時に見つけたのが、クロスワンルームの広告でした。
都内で3.8万円。今の家賃の半分以下。
これなら、毎月4万円も自由に使えるお金が増える。貯金だってできる。
でも、同時に強烈な疑念が頭をもたげました。
「安すぎる。絶対に何かある」
2. ファクトチェック:3.8万円の正体と「治安」の真実
疑心暗鬼になりながらも、私はクロスハウスの物件について、徹底的に調べ直しました。
そして、実際に問い合わせて話を聞き、内見に行ったことで、**「安さの本当の理由」**を知ることになります。
そこには、私が想像していた「スラム街」のような光景はありませんでした。
誤解①:「治安が悪いエリアだから安い」わけではない
私が案内された物件は、練馬区や板橋区、杉並区などの住宅街にありました。
そこは、ファミリー層や学生が多く住む、ごくごく普通の平和な街でした。
なぜ安いのか? スタッフの方は明確に答えてくれました。
「エリアが危険だからではなく、仕組みでコストを下げているからです」
- 水回りの共有: 部屋の中にキッチンやトイレがない。これを共有にすることで、一部屋あたりのコストを劇的に下げている。
- 部屋の広さ: 3〜4畳とコンパクト。寝るだけのスペースと割り切っている。
- 駅からの距離: 駅から徒歩10〜15分。駅近のプレミア価格を削ぎ落としている。
つまり、「訳あり商品(腐っている)」ではなく、「規格外商品(形は不揃いだけど味は美味しい野菜)」のようなものだったのです。
誤解②:「無法地帯」ではない
「安いと変な人が住んでそう」
これも私の偏見でした。
実際に住んでいるのは、私と同じように「夢のために節約したい若者」や「仕事で寝に帰るだけの会社員」がほとんど。
しかも、クロスハウスには厳格なルールがあり、トラブルを起こす人は退去させられる仕組みがあると聞いて安心しました。
3. 女性の一人暮らし、ここだけは譲れない「3つの鉄則」
物件の仕組みを理解した上で、女性がクロスワンルームを選ぶ際に**「絶対に確認すべきポイント」**が明確になりました。
一般的な「エリアの治安情報」よりも、もっと具体的で、命に関わるチェックポイントです。
これから内見に行くあなたは、このリストをスマホにメモしてください。
① エリアの「名前」ではなく、駅からの「明るさ」を見る
「世田谷区だから安心」「足立区だから危険」というレッテル貼りは無意味です。
重要なのは、最寄駅から物件までの**「ラストワンマイル」**です。
- チェック方法: 内見はできれば夕方に行くか、Googleマップのストリートビューで街灯の数を確認してください。
- 理想: 商店街を通って帰れるルートがあるか、大通り沿いであること。
- 私の選択: 私は駅から徒歩12分でしたが、途中に24時間営業のコンビニと交番があるルートを選びました。これだけで安心感が段違いです。
② 「女性専用物件」か「女性専用フロア」を選ぶ
これはマストです。絶対に妥協してはいけません。
クロスハウスには「男女共用」と「女性専用」があります。
家賃が数千円違ったとしても、女性専用を選んでください。
- 心の安心感: お風呂上がりや、スッピンで廊下に出る時のストレスが全く違います。
- セキュリティ: 女性専用物件は、そもそも男性が建物内に入れないようになっていることが多く、物理的な防御力が高いです。
③ 鍵のタイプと「壁の向こう側」
シェアハウスタイプで一番のリスクは、実は「外部からの侵入」よりも「内部のトラブル」です。
- 鍵: 自分の個室に、しっかりとした鍵(できればダイヤル式やカードキーなど、複製されにくいもの)がついているか。
- 壁: 「セミプライベート(壁の上部が空いている)」タイプは、音や光が漏れるのでおすすめしません。安くても「完全個室」タイプを選びましょう。
4. 【重要】正直に言います。「向いていない人」もいます
ここまで良いことばかり書きましたが、安さには当然「代償」があります。
住んでみてわかった、人によっては耐えられないデメリットも正直にお伝えします。
ここを許容できないなら、無理をして住むべきではありません。
- 音に敏感な人:壁は一般的なマンションより薄いことが多いです。隣の人のくしゃみや目覚まし時計の音が聞こえることもあります。「完全な静寂」が必要な人にはストレスになります。
- 水回りの潔癖症レベルが高い人:清掃業者が入るとはいえ、トイレやシャワーは他人と共有です。「誰かが使った直後のシャワー」がどうしても生理的に無理な人は、個室に水回りがある物件を選ぶべきです。
- 自炊を毎日ガッツリしたい人:キッチンは共有なので、好きな時間に長時間占領するのは難しいです。凝った料理を作りたい人には向きません。
逆に言えば、**「家では寝るだけ」「音は耳栓でなんとかなる」「水回りの掃除をしなくていいのは楽」**と割り切れる人にとっては、これほどコスパの良い環境はありません。
5. 「3.8万円」が私にくれた、本当の自由
不安を抱えながらも、私はクロスワンルームへの引っ越しを決めました。
初期費用も驚くほど安く、家具家電付きだったので、引っ越し業者を使わずにスーツケース2つで移動しました。
住み始めて3ヶ月。私の生活は激変しました。
部屋は狭い。でも、世界は広がった。
確かに部屋は狭いです。ベッドと小さな机でいっぱいいっぱいです。
キッチンもトイレも共同です。最初は気を遣いました。
でも、毎月の家賃の支払いが、共益費込みで5万円ちょっとになったんです。
以前のマンションより、毎月3万円近く浮いています。
この「3万円」が、私に何をもたらしたか。
- 心の余裕: 「今月も大丈夫かな」という月末の恐怖が消えました。
- 自己投資: ずっと諦めていた英会話教室に通い始めました。
- 美容: ドラッグストアの安い化粧水ではなく、本当に肌に合うデパコスを買えるようになりました。
- 交流: シェアハウスのリビングで、たまに会う住人と「今日疲れたねー」と挨拶する。一人暮らしの孤独感が薄れました。
母に心配された「治安」についても、今のところ全く問題ありません。
むしろ、以前のマンションでは隣に誰が住んでいるか分からず不安でしたが、今は「顔が見える」安心感があります。
駅からの帰り道も、コンビニの明かりのおかげで怖くありません。
賢い選択をした自分への誇り
私は気づきました。
本当の「治安」とは、高い塀やオートロックだけで守られるものではない。
**「経済的な不安がなく、心に余裕がある状態」**こそが、私の生活を安全にしてくれるのだと。
無理して高い家賃を払い続け、心をすり減らして生きていた頃の方が、よっぽど危うい状態だったのかもしれません。
6. 結論:恐怖に支配されず、自分の目で確かめて
「安かろう悪かろう」という言葉は、不動産の世界では必ずしも正解ではありません。
そこには「工夫」や「取捨選択」という理由があるだけです。
もしあなたが、
「東京に住みたいけどお金がない」
「今の家賃が高すぎて苦しい」
そう悩んでいるなら、クロスワンルームは最強の選択肢の一つになり得ます。
ただ、盲目的に飛びつくのはやめてください。
私がお伝えした**「女性のための3つの鉄則」**を守り、自分の目で、足で、確かめてください。
- 女性専用物件・フロアに絞る。
- 駅から物件までの夜道をシミュレーションする。
- 完全個室タイプを選ぶ。
これを守れば、3.8万円(共益費込みで約5万円)という家賃は、あなたの人生を縛る鎖を断ち切り、自由な未来へ羽ばたくための翼になります。
想像してみてください。
毎月、自由になるお金が3万円増えたら、あなたは何をしますか?
そのお金で、どんな新しい自分に出会えますか?
「安いから怖い」と決めつけて選択肢を捨てる前に、まずは一度、問い合わせてみてください。
もしかしたら、その狭い部屋が、あなたの東京生活で一番広い「可能性」の入り口になるかもしれません。
