「子供を方向音痴にしないために…その1」で、遊びながら観察力や空間認知能力を養う方法について体験談を書かせていただきました。
今回は、地図の見方に慣れたり、迷った時にどうするかを身につけたりすることについて書いていきます。
道に迷う人の特徴
もう一度、道に迷う人の特徴を確認しておきましょう。
① 観察力がなく、周りをよく見ていないし、目印を見つけられない。
② 空間認知能力が低く、頭の中で地図や空間や図形をイメージすることができない。
③ 方角の感覚が身についていない。
④ 地図の見方がわからないし、人に聞けない。
⑤ 思い込みが激しく、あれ?と思った時に戻らないし戻れない。
このようにならないために、小さいころからいろいろな能力を鍛えてあげれば、大きくなった時に役に立ちますし、困った時にも落ち着いて対処できます。
今回はこの5項目のうち、④⑤について、それぞれ遊び感覚で訓練する方法をお伝えしていきます。
①~③については下記記事で述べているので、よろしければご覧ください。
子供を方向音痴にしないために…その1遊びながら観察力と空間認知能力を養おう!
子供を方向音痴にしないために…④ 遊びながら地図に慣れさせよう!
方向音痴の人には地図を持たせても、自分がその地図上でどこにいるのか、地図をどの向きに置けば今いる場所に合うのかがわかりません。
そもそも方向音痴な人は、場所を捉える時に、自分の頭の中における向きがあらゆる人に通用するという前提の下で左右前後を捉えてしまいます。
しかし実際は、「どちらを向いたときに」右(左)にある、前(後ろ)にある、という言い方をしないと、逆方向になってしまいますね。
方向音痴の人にはそのような捉え方ができません。
ですから、前後左右などの方向を語る際には自分の位置と向きをしっかりと認識すること、地図の見方に慣れさせることも重要です。
「向かって右」「〇〇の方を向いた時に左」というような言い方は、普段の生活の中でも練習できます。
「〇〇はどこにあるの?」と聞かれた時や、運動会やお遊戯会で「どの辺りで演技するの?」と子供に聞きたい時などがいい機会です。
例えばお子さんが「お遊戯会で右の方にいるよ」と言った場合、「ステージに向かって右?お客さんの方を向いて右?」と聞きます。
幼稚園から演技位置を教えていただいていても、あえてお子さんから説明してもらうといいですね。
図を描くなどして、どちらを向いているかで「右」が反対になることを認識させましょう。
図の中に自分を置いて考える練習にもなります。
うちの子は小学校に入学する頃には、母(私よりはるかに方向音痴)の説明に対して勝ち誇ったようにニヤニヤしながら「ちょっと待って!それはどっちを向いて左って言ってるの?」などと突っ込みをいれるようになっていました。
そんな子供でも小学校2年生の運動会、短距離走をどちら側からどちら側へ走るのか?ということがあやふやで、反対向きに教えてくれたために、走っているところを見られなくてがっかりしたことがあります。
学校での練習は本番に近い形で何度か行われたはずなのですが、自分がどちら向きでその場にいたのかが全く認識できていなかったらしいのです。
次の年にはちゃんと説明してくれました。
身につくまでには長い時間と失敗が必要なのですね。
地図の練習には、少し大きい公園に行った時の園内マップや、大きなデパートに行った時の案内図を利用したり、知らない場所にお出かけする時に地図を印刷して持っていったりすることがおすすめです。
お母さんが行く方向を認識できていたとしても、園内図の掲示板の前で立ち止まったり、地図を広げたりしながら、「今はどこにいるかな?〇〇に行きたいのだけれど、どこにある?」「この地図の向きを今いる場所に合わせられるかな?」「どちらに進めばいい?」などと聞いてみます。
子供は地図を握りながら歩くと探検気分を掻き立てられるようで、一気にテンションが上がります。
子供が「自分が案内する」と主張して地図を離さず、親に確認もさせてくれないことがあるので、自分自身も自信がなくて地図を持ちたい時には、地図を2枚用意するとよいでしょう。
もし安全な場所で、道が二股に分かれていてその先でまた一緒になれるような場所ならば、お子さんと分かれて進んでみるのもよい経験になります。
道がつながっていること、行き方が一つではないことが実感できるからです。
慣れてきて、漢字がある程度読めるようになってきたら、地下道での案内をしてもらったり、公園や駅まで連れて行ってもらったりしてみます。
戸惑うようなら、道標の看板に注目することを教えましょう。
時にはお母さんも迷う時があるかもしれません。
そういう時こそ、人に聞くことを教えるチャンスです。
お母さんが実際に周りの人に質問する時の態度や言葉遣い、最後のお礼の言葉などを聞いて、子供は学びます。
周りにいる人の中で誰に聞くのが一番よさそうか、一緒に考えてみるのもいいですね。
交通整理のおじさん、店員さん、公園の整備員さん、子供連れのお母さんなど、親切に教えてくれそうで安全な人を選ぶ目を養ってあげましょう。
お子さんが自分で聞いてくると言ったら、思い切って任せてみます。
一人で聞きに行く勇気、話しかけ方、自分の聞きたいことを伝える能力、相手の言葉を聞き取る能力、それを覚えてきてお母さんに伝える能力、いろいろな能力が試されます。
任せるとはいってもしっかり見守っていて、困るようだったら近寄って手助けをし、一人でできた時も教えてくださった方に会釈をして感謝を伝えるのを忘れないようにしましょう。
できてもできなくても、挑戦したお子さんをたくさん褒めてあげてください。
子供を方向音痴にしないために!⑤ 探検ごっこで間違える経験をさせよう!
私は子供を自転車で幼稚園に送り迎えする時にできるだけ余裕を持って行動し、よく探検ごっこをしました。
曲がり角にくると「どっちに進む?」と子供に選ばせるのです。子供が選んだ方には必ず行かなければなりません。子供はこの遊びが大好きでした。
袋小路に入り込んで戻らなければならなかったり、家からどんどん離れてしまったりすることもありましたが、きれいな花の咲いている家を発見したり、田んぼの中で不思議な生き物を見つけたり、小さな山の周りを一周して帰ったり、楽しい時間を過ごしました。
あまりに家から離れそうで困った時には、「家はどっち?」と問いかけます。
「そろそろ家の方に向かいたいから、ここでは左に曲がるのはなしにしようね。まっすぐか右、どっちにする?」というように、ある程度誘導するのもありです。
散々細い道を走った挙句、見慣れた道に出ることもあります。
いつも通っている道だと子供が気づいたら、大いに褒め、何を見てわかったのか聞いてみましょう。
袋小路に入り込んだり迷ったりして、道を戻る必要ができた時は、交差点まで戻ったところで必ず、「さっき、どっちから来たかな?」と聞いてみます。
方向音痴の人はなんとなくぼーっと進んでいて、そういうことを全く見ていないし意識していないので、答えられません。
逆方向に進んでしまったりして、戻れないのです。
間違ったり進めなかったりで戻ることを何度か繰り返すと、子供も曲がり角で注意するようになります。
こんなことを繰り返しているうちに、子供はいつの間にか道を覚えるのが私よりはるかに上手になりました。「この道通ったことがある」とか、「この建物覚えているよ。〇〇の時に通った。」と言うようになったのです。
その能力は自動車に乗っている時も発揮されるようです。
幼稚園を卒園する頃には、幼稚園まで自転車で30~40分の道のりを道案内できるようになっていました。
困ったり、あれ?と思ったりしたら戻ることにも抵抗がなくなりましたし、ちゃんと戻れます。
知らない場所に行っても、案内図を見つけて進むことができますし、迷っても周りの人に助けてもらうことができます。
4年生の今では方向音痴の母をいざなって歩くほどになりました。
まとめ
方向音痴にならないための様々な能力を養うためには、長い時間や失敗が必要なこともあります。
お母さんがイライラしたり、「駄目ね」と言ったりすると、子供は自信もやる気もなくしてしまいかねません。
小さなころから普段の生活や遊びの中で様々な働きかけを行い、笑顔でたくさん褒めることで、子供の能力は少しずつ、でも確実に伸びていくでしょう。
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