念願の新築住宅を手に入れ、思い描いた快適な住まいをゲットだ!!
なんて思っていても、実際に住んでみると、「なんだか想像していたのと違っていた…」「こんなはずじゃなかった…」という部分もいくつか出てくる場合があります。
家の中の温度(室温)は、そのような「理想と違う…」などの盲点になりやすいポイントだったりします。
残念ながら室温や空気の流れ、空調などは目に見えない要素なので、設計者の立場からすると、新築時の図面やパースでは表しにくく、施主にも伝わりにくいやっかいな部分でもあります。
また、家が建つ地域や土地の周辺環境、その家の住人の部屋の使い方などによっても室温は様々な事象が発生して変化するものなので、その空間が暑いと感じるか寒いと感じるかは、実際に住んでみて体感しないと、意外と分からないものなんですよね。
それに人によっても快適な温度には多少差がでますし。
今回は、実際に住んでみてから分ることの多い新築物件の家の中の寒さの原因について紹介していきたいと思います。
また、これから新築物件を建てられる方に向けた、寒さ対策から考える注意すべき間取りについてもご紹介していきます。
新築住宅なのに寒い!一年目に確認すべきこと
いくら新築物件といえど、冬場は寒くて家の中で過ごすのが億劫になるくらいの状況であったり、暖房をつけていても家の中の温度が外より寒いなどの場合は、何かおかしいと原因を探ってみることをおすすめします。
もしあなたが“冬も寒くない家”として、「高気密」「高断熱」などの機能をうたうハウスメーカーの新築住宅に住んでいる場合は、まず確認申請の図面どおりに床・壁・天井、さらに断熱材などの建築材料がちゃんと指示通り使用されているかの確認をしてください。
また、断熱材は規定の厚さが確保されているかの確認もした方がいいです。
疑いたくはないですが、申請図面どおりに施工が行われておらず、断熱材や建築材料の省略など、ずさんな工事内容によって住宅の快適性が失われている可能性もあると考えなければなりません。
また施工業者によっては、工事途中に追加や仕様変更が生じ、図面作成時に記載されたものから同等品に置き換えて施工をすすめているケースなんかもあります。
材料の置き換えによって断熱性能などのランクが落ちるという可能性も考えられます。
見えない部分は予算が削られやすい傾向にありますからね。
さらには、単純にウッカリや施工ミスで部分的に断熱材が入れられていないなどの理由によって家の断熱性能が落ちている場合もあります。
住宅には今後のメンテナンスのために、天井点検口や床下点検口が家の中のどこかに設けられていると思われます。
ぜひ点検口から普段は見えない部分の確認を行ってみてください。
何か発見できるかもしれません。
新築一年目であれば、何か性能に問題があった場合、余程ひどい施工業者でない限りは対応してくれるはずです。
業者へはどういった状況で困っているということを的確に伝えるようにしましょう。
もし自分での確認が難しい場合は、建物の欠陥や施工不良などがないか調べてくれる第三者機関もありますので、多少調査費用はかかりますが、利用するのもひとつの手です。
また、家の寒さが断熱材などの建築材料によるものでない場合、家の中のどこかに外気を入れてしまう隙間があいている可能性も考えられます。
例え小さな細い隙間でも、そこから外気が侵入して部屋の温度を下げる可能性がありますので、注意して確認する必要があります。
目に見える範囲で隙間が発生しやすい箇所はドアや窓など、建具周辺が多いです。
最近販売されているメーカー品のドア・建具・サッシなどは気密性が高い構造の商品が多いですが、サッシの建て付けが悪かったり、窓枠との間に隙間ができていたりすると、そこから外気が侵入してしまいます。
ただでさえ、アルミサッシなどの窓は室内の温度を外へ逃がしやすく、室温を下げる要因になるので、窓枠やドアまわりなど、開口付近は要注意です。
ちなみにサッシまわりの隙間からは場合によって、家の中に風だけでなく虫なども入ってくる可能性もありますし、雨など水分が侵入するケースも考えられますので注意が必要です。
さらに、窓付近の温度が低い状態だと、足元に冷たい空気が流れてくるコールドドラフト現象などが起きてしまいます。
コールドドラフトでは冷たい空気が窓周辺で冷やされて足元へ落ちてきます。
コールドドラフトの対策としては、窓下や窓付近の足元に暖房器具を置くのが有効です。
新築住宅なのに寒い!後悔しない家づくりの秘訣とは
ここからは、これから新築住宅を建てようとしている方に向けて、建ててしまってから「家の中が寒い…」なんていうこということがないように、寒さ対策の観点から後悔しない間取りづくりのポイントを紹介したいと思います。
「頭寒足熱」とも表現される、頭部を冷やし、足部を暖かくする状態は健康にも良いとされていますが、部屋の中の温度は放っておくと、それとは逆の状態になってしまいます。
部屋の中の空気がうまく循環していないとき、暖められた空気は自然に上にあがっていくので、天井付近に溜まりやすくなります。
逆に冷たい空気は足元に停滞してしまいます。
ということは、天井の高い家やリビングに吹き抜けを設けている間取りの家は、部屋を暖房器具などでいくら温めても全体が温まりにくく、体感として寒い部屋だと感じてしまう場合があります。
天井が高いリビングや吹抜けのあるリビングなどは明るく開放的で理想の住まいに思われがちですが、建てた後に後悔してしまう可能性のある間取りのひとつです。
天井の高い家や、吹き抜けのある家の寒さ対策としては、天井付近や吹き抜け上部に停滞している暑い空気をサーキュレーターで循環させることが手軽で有効な方法です。
天井の中央付近にシーリングファンなどを設置してもおしゃれですし、床面に置いたサーキュレーターを天井方向に向けて回すだけでも効果があります。
まとめ
今回は、実際に住んでみてから分ることの多い新築物件の家の中の寒さの原因について、また、これから新築物件を建てられる方に向けた、寒さ対策から考える注意すべき間取りについてご紹介しました。
室温や空気の流れなどは目に見えないので、住んでみて体感しないと分かりにくい部分ですが、寒さに対しても様々な対策方法はあります。
家の構造やつくりを理解し、住みやすい環境づくりを行ってみてください。
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